2008/07/26 (Sat) 19:32
7月26日に思い出す1人の女性とミュージカル作品

こんばんは、本日2度目の永岡ともよしです。実在の人物を描く劇作品は数多く、現在でも頻繁に上演されるミュージカルに限定しても、タイトルは幾つも挙げられます。「一国の最高権力者夫人の少女時代から亡くなるまでが登場する作品」と条件設定されて、ミュージカル好きなら何と答えるのでしょうか。『エリザベート』なのか、それとも『エビータ』ですか?

当時のアルゼンチン大統領ファン・ペロン氏の夫人だったエバさんが亡くなったのは、今から半世紀以上前の1952年7月26日でした。ところで希に「エヴァ」と表記している例を見掛けますが、アルゼンチンはスペイン語圏の国ですのでV(ヴィー)音はありません。お名前のEvaはエバが原音に近いカタカナ表記です。英語風なのだと反論されそうですが、英語ならEvaはイーヴァと読みます。

ブロードウェイ初演キャスト盤です
  EVITA.jpg

ついエヴァと書いてしまう理由は簡単で、英語圏生まれの本作品中ではエバ・ペロンを含めて、みんなが英語を話すからです。それこそ英語風にアルゼンチンの名前を発音するので、Evaがエヴァになってしまうのですね。物語や音楽性の面でも、現地の感情や風土を汲み上げた作品でない点は、鑑賞する上でも忘れてはいけません。

そんな重大な不満を抱えながらでも、このミュージカルは魅力的です。私の個人的評価だけなら、アンドルー・ロイド・ウェバーさんの手掛けた作品の中で、『エビータ』が最高位に入ります。未見の方に御案内しておきますが、これは所謂超大作ミュージカルではなく、寧ろ抑えた規模で落ち着いた作風を特徴とする作品だと思います。

この映画版でも御馴染みでしょうか
エビータエビータ
(2007/11/22)
マドンナ
A・バンデラス
J・プライス 他

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最も有名なのは「アルゼンチンよ、泣かないで」でしょうが、これも私の選択では「空を行く」を挙げておきます。映画ではアントニオ・バンデラスが演じた”チェ”が歌う1曲です。近年の劇団四季公演では芝清道さんのチェで聴きましたが、これは芝さんのように声のきれいな俳優さんに歌って欲しいですね。雰囲気を作るだけでは楽曲の美しさが削がれてしまいます。

最初に貼ったブロードウェイ盤でのチェはマンディ・パティンキンさんです。第2期まで出演した最近の人気TVシリーズ『クリミナル・マインド』など、すっかり容姿も変化していますが、30年近く前のブロードウェイ初演当時は20代で、ミュージカル俳優として高い評価を得ていました。本人名義のアルバムなどのCDも発売されていますので、興味のある方なら聴いて損は無いと思います。

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2008/06/01 (Sun) 00:42
16年前に1つの劇場が閉館しました。そして今年

皆さん御機嫌如何ですか、永岡ともよしです。関東から北の地域では寒暖の変動が激しいので、体調管理には十分にお気をつけ下さい。さて今回のお話は舞台上で展開される演劇の内容ではなく、空間それ自体、要するに器である劇場に関する記事になっています。先ずは今から16年前、1992年秋に閉館した大阪の有名劇場の「その後」から始める事にしましょう。

JR大阪駅からも程近く、阪急電鉄の巨大ターミナル・梅田駅を核とした繁華街があります。その一角に梅田コマと名付けられた劇場が建っていました。その抜群の立地から、関西で行われる大型興行の中心を担っていましたが、時を経て老朽化し、別名称を冠した後継劇場を得て、開場36年で最後の日を迎えたのでした。

新たに誕生した地上30階を超える高層ビルは、ホテル・オフィス・劇場の区画から成り立っており、地下に設けられた収容人員900人弱の中ホールが「シアター・ドラマシティ」、そして大ホールには「劇場・飛天」の名前が与えられました。やがて興行上の理由から改称され、「梅田コマ」の名は復活しましたが、残念ながら営業成績は芳しくなかったのです。

2つの劇場は、母体であった阪急によって買い取られて、「梅田芸術劇場」と呼ばれるようになりました。地下のドラマシティは名称変更されずに残りましたが、1900人を収容する元「飛天」・元「梅田コマ2代目」は、単なる「メインホール」になってしまいました。音響設備の改修も施されて、再スタートを切ったのが2005年の4月でした。

この売却→模様替えが発表された時点では、コマ・スタジアムが所有している東の劇場「新宿コマ」は黒字を保っていると言われていました。しかし新宿も収支は悪化して、遂に2008年5月28日に年内での閉館が明らかになったのです。同時に隣接する映画館などが入ったビルも役目を終えて、歌舞伎町は大きなシンボルを失う事になりました。

「新宿コマ」の地下には、小ホール「シアターアプル」と映画館「新宿コマ東宝」があり、同時に消える隣のビルでは洋画系の主要館「新宿プラザ」が営業しています。「ゴジラ」シリーズはコマ東宝で、「スターウォーズ」はプラザで鑑賞してきた私にとって、両映画館の終焉だけでも想いは深くなるばかりです。もちろん劇場ビル全体が積んできた実績は、1人の言葉で語り尽くせるものではありません。

東京には1ヶ月単位の興行を基本とする商業劇場が幾つかありますが、収容能力の面から代表的な4劇場を挙げられると思います。銀座・日比谷地区にある「歌舞伎座」「帝国劇場」「東京宝塚劇場」そして新宿・歌舞伎町に君臨してきた「コマ劇場」です。これらの中で、コマだけが取り残されてしまったのは残念でなりません。

近年現在30代以下の若手が注目を集めて、歌舞伎の人気は低迷を脱し上り調子にあります。伝統ある帝劇はミュージカルの複数月公演も導入して、数々の定番人気演目を抱えている状態です。宝塚は数年前ほどの好況ではありませんが、今の建物に改築して以降、順調に観客を集めての通年興行が続いています。

それに比べて公演内容の見直しに出遅れたコマ劇場は、演歌系歌手の皆さんを座長とした芝居+歌謡ショウの興行が弱体化の一途を辿り、新劇場建設の目処を立てられませんでした。1956年に開館し50歳を超えた劇場は、もう次の器を必要としていたのです。長年の歌手座長公演依存が、劇場を新しい時代に生まれ変わらせる道を閉ざしてしまいました。

演歌=日本人の心、などという幻想を刷り込まれた人は多いでしょう。しかし将来を読み取るべき興行界の人間が、そんな作られた常識に胡坐をかいていてはダメでした。戦後、洋楽系・クラシック寄りの音楽的素地を持たない地方出身者が都会に溢れました。その人たちに合わせた大衆音楽が、演歌に行き着いたのです。つまり、子供時代から地域を問わずに最新の音楽に触れられるようになれば、支持者は減少していく運命を背負っていたのでした。

だいぶ横道に逸れてしまいましたね。かつて名前に反して東京宝塚劇場が劇団専用ではなかった頃、宝塚歌劇もコマで公演していました。最近でもOG公演は実績があって、現・星組娘役トップの遠野あすかさんは、2度に亘る『シンデレラ』へのゲスト主演が存在感を大いに高めました。数々の伝説を生んだ偉大な劇場が、後継の計画も無いままに消え去るのは、悔しいと言う他ありません。2千席が別に確保されれば済むような、そんな簡単な話ではないのです。

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2008/05/28 (Wed) 14:20
役柄を変化させる事の難しさ−「水戸黄門」を例に

こんにちは、永岡ともよしです。最初にお断りしておきます。今回の記事は例としてTVシリーズ「水戸黄門」を取上げていますが、管理人は番組の熱心なファンではありませんし、詳しい情報も持っておりませんので、深い考察をお求めの方は専門的なサイトへの訪問を推奨します。先日の「ドラえもん」と同じで、あくまでお話を分かり易くする為の例だと御理解下さい。


上のグラフは私が about me で設定した質問に対する回答を表示しています。東野英治郎さんを挙げる声が強く、後継の西村晃さんと併せれば圧倒的多数を占めていますね。月形龍之介さん支持の意見が何人か寄せられていますが、映画での黄門役に加えて、東野さん版に先立ってTBS系でのTVシリーズにも主演していたのですから、当然の数字かも知れません。

私にとって意外だったのは、佐野浅夫さんの不人気振りです。2人の先輩とは俳優として持ち味が違う佐野さんの起用が不発に終わり、それとテレビ定常枠での時代劇人気の凋落が重なって、完全な主役タイプの俳優さんである石坂浩二→里見浩太朗への路線変更に繋がったのでしょう。本当なら橋爪功さんの黄門様など観てみたいですけどね。

そろそろ本筋に入りましょう。何故「水戸黄門」ファンでもない私が、こんな質問を思いついたかというと、実は本館用に声優・森功至さんの記事を書こうと準備している途中で、ある事に気付いたからでした。若い頃「かっこいい」主役だった人が、年齢を重ねて脇役で重要な位置を占めていくのは難しいという事実です。

科学忍者隊ガッチャマン VOL.1科学忍者隊
ガッチャマン
VOL.1

(2000/05/20)
森功至
佐々木功 他

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黄門様は本来の主役キャラではありませんよね。もっと若くて活動的な世代が前面に立って、それを影から支える立場が相応しい位置だと思います。従って、脇役路線で評価されてきた俳優さんが演じてこそ、「脇主役」の黄門様は光りを放つのです。佐野さんが支持を得られないのは、秘めた恐さや凄みに欠ける印象を視聴者が拭い去れないからでしょうか。

森功至(もり・かつじ)さんは、現在のようにアニメが大量生産される前の時代に、幾つもの歴史的作品で正統的な主役を演じていました。最近久々にアニメの主役に復帰しましたが、ずっと情報番組等のナレーター中心で、演技を聴く機会は殆ど無くなっていたのです。2枚目が中高年の脇役に移行して成功するのは、アニメ声優さんの世界でもゼロに近いと言えます。

映画やテレビドラマの俳優さん、アニメの声優さんなど分野を問わずに、年齢と共に立ち位置を移して成功を収めた例を御存知の方があれば、是非コメントの形でお知らせ下さい。お前が知らないだけだという御指摘も大歓迎しますので、積極的な投稿をお待ちしています。因みに森さんの声優記事は未掲載ですので、本館まで探しに行かないで下さいね。それではまた。

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2008/05/06 (Tue) 23:01
懲りもせずに舞台の話−『ラ・マンチャの男』

御機嫌如何ですか、永岡ともよしです。いつも皆さんに無視されている舞台関連の記事ですが、それでも書かずには済ませない私永岡は、懲りもせずに『ラ・マンチャの男』を取上げる事にしました。松本幸四郎さんの舞台は、歌舞伎も楽しんだ経験がありますが、何を演じさせても華のある人は違うと溜め息が出てしまいます。同世代の歌舞伎役者さんでは、一番は仁左衛門さんだと思いますけどね。

『ラ・マンチャの男』1000回公演記念写真集“見果てぬ夢”を抱いて

東京だと4月末まで帝国劇場で上演されていた『ラ・マンチャの男』は、ブロードウェイでは1965年に初演されたミュージカルです。9代目・松本幸四郎さんにとっても約40年に亘って演じてきた作品で、1人の主演者による海外ミュージカルとしては、最多上演記録を更新(4月15日で1100回)し続けています。

これほど永く愛されてきた『ラ・マンチャの男』ですが、それでは誰にでも分かり易い作品かと問われれば、実は即座に「否」と答えざるを得ません。セルバンテスの書いた原作自体が、老郷士キハーナと彼の抱く幻想中のドン・キホーテが絡み合う、多少複雑な物語なのに加えて、実はそのまま舞台化されている訳ではないのです。

教会を侮辱した罪で投獄されたセルバンテスが、裁判を迎えるまでの間に他の囚人達と獄中で演じる劇中劇として、キハーナとドン・キホーテのお話が展開されていきます。しかも、最初と最後だけセルバンテスが登場するのではなく、舞台上での現実と劇中劇の間で、頻繁に行ったり来たりを繰り返すのです。芝居慣れしていない人には苦痛かも知れませんね。

ラ・マンチャの男ラ・マンチャの男
(2004/08/04)
オリジナル・ブロードウェイ・キャスト盤

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もちろん、こうして紹介しているくらいですから、私は『ラ・マンチャの男』を高く評価しています。古き佳き時代のミュージカルほど優雅ではなく、『ウェストサイド』の斬新さもありません。ロイド・ウェバー以降の近代作品に比べれば、音楽的に物足りない「歌入り芝居」に過ぎないとも思います。しかし、この作品には「見果てぬ夢」と不朽のテーマがあるのです。

初めは作家セルバンテスを物珍しさだけで邪険に扱っていた囚人達が、キハーナ=キホーテの姿に感銘を受けて、裁判へと向かうセルバンテスを熱い共感を持って見送る終結部には、人生への希望を失わない強い意思が湧き上がります。手の届かぬ星であっても、自分が正しいと信じる世界を目指して、勇気と共に求め続けたいと私は願っています。

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2008/04/17 (Thu) 10:24
2008年10月1日、TDRにシルクが登場!

《予定とは別内容で書いています》
ご機嫌如何ですか、永岡ともよしです。WOWOWでのTVドラマ「CSI」第7シリーズ放送が始まりました。日本でも有名なシルク・ドゥ・ソレイユの常設劇場が事件の現場になったり、人気歌手のジョン・メイヤーが本人として登場したりして、桁違いに賑やかなスタートでした。でも今回は「CSI」のお話ではありません。

ショウはDVD化されています
アレグリアアレグリア
(2004/10/29)
シルク・ドゥ・ソレイユ

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2008年10月1日、これまでは広域巡回の一環で日本公演を行ってきたシルク・ドゥ・ソレイユの専用常設劇場が、千葉県でオープンします。収容人員は2170名で、1つの団体が継続して上演するタイプの劇場としては、東京宝塚劇場を上回る首都圏最多の客席数ですが、それ以上に強力なのが立地条件です。

情報に目敏い方は当然御存知の通り、この注目の施設”シルク・ドゥ・ソレイユ シアター東京”は、あの知らない人の無いTDRに建てられているのです。2つのテーマパーク、お買い物施設、そして公式ホテルなどから成る東京ディズニーリゾートに、世界の興行界を席巻するシルクが加わり、大規模な専用劇場で通年公演(年380回予定)が実現するとは!

終点の無い夢の旅です
写真集 東京ディズニーリゾートドリーム写真集 東京ディズニーリゾートドリーム
(2008/04/15)
ディズニーファン編集部

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TDRもランド開場から25周年を迎えて成熟期に入り、数字面での拡大は望み辛い状態に達しているのは間違いありません。今後は浦安地区とは別に新たな市場の開拓を目指す方針のようですが、本拠地の完成形として、これほど理想的な陣容は他に考えられません。慌しい日帰りではなく、各種アトラクションにシルクまで堪能して、ゆったりとホテルに宿泊するスタイルのリゾート施設なのです。

シルクの常駐公演は、これまで「CSI」の舞台であるラスベガスでの展開が中心でしたが、今後は日本を含めて各地に広がるようです。またディズニーやライセンスを受けた施設が滞在型を志向して拡大してきた実績と併せてみれば、繁華街に単独で立つ大劇場から離れた、これからの興行が目指すべき形が明らかになるのではないでしょうか。

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