2008/05/27 (Tue) 14:32
今回は狭い範囲を対象に宝塚関連記事を

こんにちは、永岡ともよしです。現在宝塚大劇場では、真飛聖(まとぶ・せい)さんが新しい男役トップスターに就任した花組が、6月16日まで公演中です。ショウ『Red Hot Sea』(作・演出:草野旦)と共に上演されているのは、英国の作家 ローズマリ・サトクリフの小説を原作にしたお芝居の『愛と死のアラビア』です。こちらの脚本・演出は、谷正純さんが担当しています。

昨年発売された日本版です
血と砂 上―愛と死のアラビア (1)血と砂
愛と死のアラビア 上

(2007/03)
ローズマリ・サトクリフ

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    (原作は上下2巻構成になっています)

エジプトに遠征して捕虜となり、イスラムに改宗してオスマン帝国に重用された元英国兵 トマス・キースの物語です。彼の運命を詳細に記述してしまったら、所謂ネタバレの極致なので、今回は補足的な説明だけに止めておきます。もう舞台の情報も大量に出回っているでしょうから、未見の方に少しでも参考になれば幸いです。

1920年に生まれ、92年に没したサトクリフにとっては、原版が87年に発売された『血と砂』は後期の作品になります。この『血と砂』など一部の例外を除いて、主に少年向けに数多くの歴史小説を残している作家さんです。今世紀に入ってから日本でも著作が翻訳出版されているので、比較的簡単に他の作品も入手可能な状況ではないかと思います。

小説の時代設定である19世紀初めは、ナポレオン率いるフランスが欧州及び周辺に覇を唱え、また『愛と死のアラビア』にも登場するムハンマド・アリが、エジプトに近代的な半独立国を打ち立てて、現代エジプトの基礎を構築した時期です。丁度その地域を舞台に、イスラムの戦士となったスコットランド出身のトマス・キースは、波乱の数年間を駆け抜けていきます。

英国人で砂漠ならば、映画になった「アラビアのロレンス」を思い出す人も多いでしょうが、これは1世紀も前の時代を描いたお話です。兵士としての力量に優れ、しかも容姿に恵まれたキースは、宝塚歌劇の主役にピッタリですね。東京公演(7月11日〜8月17日)で、アラブの戦士を演じる真飛さんに出会うのが、益々楽しみになってきました。観劇後の感想は、また何処かに掲載します。

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2008/05/17 (Sat) 00:01
私の趣味の原典−さっき思い出した事

御機嫌如何ですか、永岡ともよしです。事前に別に書くつもりの題材があったのですが、更新される毎に私が必ずお邪魔しているブログ「sakebara」で読書に言及した記事を読んで、ある大切な事を思い出したので、自分の中で予定を変更して、その事柄について書いてみる事にします。「sakebara」の管理人であるキクチさんに、この場を使って御礼の気持ちを伝えておきます。

私にかなり明確に懐古趣味があるのは、このブログを読んで下さっている方ならお気付きの事と思います。その出発点が何処にあったのか、自分でも確かな記憶が探せないでいたのですが、先述の記事を切欠に小学生時代の読書歴を回顧していたら、様々な本のタイトルが思い出されて来ました。読書以前に古い音楽が好きだったような気がしますが、それが表面化するのは大人になってからなので、やはり基礎を作ったのは読書体験だと言えそうです。

私が最初に思い出したのは古典的推理小説でした。フィルポッツの『赤毛のレドメイン家』やルルーの『黄色い部屋の謎』などが懐かしいタイトルです。ドルリー・レーンのシリーズも何作か読みましたね。もちろんホームズの活躍も読んでいたのですが、私は夢中になるまでは熱が入らなかったようです。それよりも海外SF、特に(やはり)古い作品への関心が募っていきました。

そんな私にとっての最良のガイドブックとなった、こんな本があったのも、つい先ほど思い出した事柄の1つです。

SF英雄群像―スペース・オペラへの招待 (ハヤカワ文庫 JA 119)SF英雄群像―スペース・オペラへの招待
(ハヤカワ文庫 JA 119)

(2000)
野田 昌宏

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私が読んだのは、もっと以前に出版されたものでしたが、書かれたのは更に何年も遡るようなので、既にこの著作自体が古典の領域に入っていたのでしょう。『スターウォーズ』によって再認識された宇宙冒険活劇が、活字分野で全盛を極めていた時代までのSF系読み物を紹介した本です。

著者である野田昌宏さんはテレビ番組の制作者としても活躍された方で、手掛けた番組の1つである「ポンキッキ」のガチャピンそっくりな写真を拝見した記憶があります。もう70歳代半ばだとおもいますが、お元気なのでしょうか。野田さんがSFや宇宙に関する啓蒙活動に果たした役割は大きく、大元帥の業績は繰り返し賞賛されるべきではないか、私は今そう考えています。

そんなアレコレに想いを巡らせていたら、もっと大元の基礎の基本を思い出しました。「少年探偵団」のシリーズです。小林君たち少年探偵団や明智小五郎と、変装の名人・怪人二十面相の手に汗握る対決の数々は、紛れも無く私の読書歴に於ける原典作品でした。可愛いメルヘンなんて読んでいなくて、戦後の未だ暗闇の多い東京の夜が、幼い私にとっての幻想空間だったのです。

怪人二十面相 (少年探偵)怪人二十面相 (少年探偵)
(2005/02)
江戸川 乱歩

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これに気付くと、何故自分が生まれてもいない時代に書かれた、昭和の色濃い歌謡曲に惹かれるのか、古典的なヒーローやヒロインを支持したくなるのか、その理由が良く分かってきました。何だか頭の中がスッキリした感じですね。私は単純に少年探偵団の活躍を応援するだけでなく、彼らの息づく時代の風景や雰囲気にも憧れていたのでしょう。

今回の記事を締め括るにあたって、自分の精神的な歴史を辿る切欠を与えて下さったキクチさんに改めて感謝します。「sakebara」の記事を読まなければ、私のレトロ好きが何処に出発点を持つのか、それを考える機会さえ無かった事でしょう。読んだ本の積み重ねが自分の歴史であり、それを振り返る事で原典に出会う結果に至りました。本当にありがとうございます。

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2008/05/08 (Thu) 20:04
今回の『黎明』記事は長くて読み辛いです

皆さん元気ですか! 永岡ともよしです。数日間を完全オフラインで過ごして以来、私は心身とも充実して、不安ばかりの毎日を逞しく生き抜いています。最近「黎明」に関わる機会が重なったので、そんな話題を今回は取上げる事にします。因みに夜明けとか、始まりという意味ですが記事の方には殆ど関係ありません。

宝塚歌劇・宙組公演の特集本です
Le Cing (ル・サンク) 2008年 03月号 [雑誌]Le Cing (ル・サンク)
2008年 03月号 [雑誌]

(2008/02/26)
黎明の風・Passion特集

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表紙はショウ『Passion』の1場面で、この2人がマッカーサー元帥と白洲次郎を演じるのが、お芝居の『黎明の風』です。宝塚=キラキラの王子様やお姫様だと思い込んでいる方には、絶対に想像も出来ないくらい、正面から戦後日本の再独立までを描いた骨太のドラマです。白洲役の轟悠(とどろき・ゆう)さんが小柄なのは史実に反しますが、堂々たる侍ジェントルマン振りですよ。

何度でも「伏礼を廃す」に感動です
十二国記の世界 風の万里 黎明の空篇十二国記の世界 風の万里 黎明の空篇
(2004/05/19)
久川綾 桑島法子
若林直美 他

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そして「黎明」といえば、私にとっては慶国王・陽子の初勅に圧倒される、「十二国記」シリーズの『風の万里 黎明の空』編ですね。「アンナとシャム王」から引用して、異国の女性家庭教師と新しい王様を1人に纏めたのが「十二国記」の同パートなのですが、それを知っていても陽子の演説に至る件は偉大な瞬間を生み出します。アニメ版も素晴らしいです。

あっ間違えました。今の私にとって小説やアニメで「黎明」といったら、これを紹介しなくてはいけませんね。
彩雲国物語  黎明に琥珀はきらめく (角川ビーンズ文庫 46-16)彩雲国物語
黎明に琥珀はきらめく
(角川ビーンズ文庫)

(2008/05/01)
雪乃 紗衣

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先日も発売情報を掲載した「彩雲国物語」の最新刊です。「十二国記」と並べてしまうのは、酷な扱いでしょうか。同じように国王や周囲の人々が政治に携わる姿を描いていますが、少なくとも新作に感動はありませんでした。無理に引き伸ばしている感満載で、「彩雲国」大好きになった私には相当辛い読書時間になってしまいました。

彩雲国の世界は、能力は桁違いに高いけれど稀代の変わり者、という人々が集まって構成されています。本来個性を際立たせる為の演出に過ぎない変人度が、物語を展開させる上での鍵に使われているのが、現在の彩雲国が抱える読み物としての脆弱さに直結していると思います。面白おかしい人物像が、重い足かせになって作者を苦しめているように感じるのです。

本当なら10分で到着する道程を、わざわざ遠回りして方々迷いながら、何日も使って移動している最中。「彩雲国物語」の現状は相当に厳しいと私は思います。これまでも影月くんやタンタンなど、新しいキャラクターが停滞を救っているのですから、ここは寧ろヒロインの秀麗たち主要人物を脇に移して、各エピソード毎に別の主役を立てる事も必要ではないでしょうか。

私にしては過激に批判的な文章なので、他の彩雲国ファンからの猛反撃は覚悟しています。あえて全ての想いは記事にしていませんので、皆さんと言葉のやり取りが出来るのであれば、その過程で更に明らかにしたいと思います。

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2008/04/21 (Mon) 20:06
『男たちの宝塚』⇒『宝塚BOYS』

皆さん御機嫌如何ですか、永岡ともよしです。東京宝塚劇場の向かいに昨年開場したシアタークリエの8月公演は『宝塚BOYS』という演目です。「宝塚で男性ならBLモノ?」と考えてしまった方、残念ながら大ハズレです。これは昭和20年代に存在した幻の宝塚歌劇団男性団員の物語なのです。

男たちの宝塚―夢を追った研究生の半世紀 (のじぎく文庫)


2004年、青年達の夢が費えてから半世紀を迎えた年に、その原作『男たちの宝塚』は出版されました。昨年舞台化され、地味な内容ながら案外派手な出演者を起用して東京初め各地で上演されました。そして今年は、東京宝塚劇場至近のシアタークリエで再演が実現するのです。

    ☆ ☆ 舞台の公式ウェブサイトはこちらです ☆ ☆

現実の男子部メンバーは1度も大劇場のステージに立つ事無く劇団を去りましたが、もし彼らの夢が真に実現していたら、日本の演劇界は格段に異なる様相を呈していたに違いありません。ミュージカルは遥かに早く、しかも高いレベルでファンに定着していたでしょうし、宝塚の男女主演コンビが映画やTVに登場して、そのまま主役を演じる機会も多かったかも知れません。

脳が硬くなっている宝塚狂のオバサマ方は、仮に想像の世界であっても到底受け入れられないでしょうが、私は男女の揃っている歌劇団を観てみたいと思います。体力があり声量も豊かな男性がいれば、演技の限界は一気に超えられます。恐らく現在であれば、185センチと173センチの美形同士で主演を組む事も可能だったのではないかと思ったりします。

私は宝塚歌劇団が大好きです。もちろん今の女性だけが出演する舞台にも感動を与えてもらっていますが、実際には出来ていない事が多過ぎます。原作を読み、舞台を観ながら、決して起こり得ない現実ではなかった「男女混成で歌・踊り・演技の全てにハイレベルな宝塚歌劇団」を夢見てみるのも、この夏の過ごし方として悪くない気がしています。

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2008/04/16 (Wed) 11:28
『天路歴程』−キリスト者の歩む道

皆さん如何お過ごしですか、永岡ともよしです。何週間か前にシドニーからの生中継で、レイフ・ヴォーン=ウィリアムズ作曲のオペラ『天路歴程』を聴いて、感激したと書いた記憶があるのですが、今回は原作に相当する本を御紹介します。オペラについては別のページ(後日作成目標)を御覧下さい。

天路歴程
天路歴程 正篇
天路歴程 続篇

本当は岩波から発売された文庫を表示したかったのですが、残念ながら正編(第1部)の方が出回っていないので、断念して値段の高い単行本の御案内に切り替えました。

ジョン・バニヤン John Bunyan(1628−1688)によって著された全2巻からなる『天路歴程』 The Pilgrim's Progress は、第1部が1678年、第2部は1684年に発表され、今日に至るまで世界中で愛読されている道徳的寓話です。

神の啓示を受けた主人公クリスチャン(基督者)は、「破戒の町」と呼ばれる故郷を離れて、救いを求めて「天の都」へと放浪の旅を続けます。その道中で基督者は様々な困難を体験し、そしてキリスト教の観点から不実とされる男たちに出会う過程で、真の信仰を理解していくのです。

私の限られた知識によれば、芥川龍之介さんも著作の中で何度か『天路歴程』に言及していたと思います。もっとも、子供時代の読み物としては『西遊記』には遥かに及ばないと、ずい分辛口の評価であった気がしますが、これは寧ろ『西遊記』の優秀さを印象付ける為に引用したものと考えるべきでしょう。

現代の日本で広く読まれているとは言い難いのですが、キリスト教圏に育った人々の異文化に向ける本質的な寛容性を理解するには、『天路歴程』は格好のテキストであると思います。救いを見出す人がある一方で、その独善・偏狭を苦々しく感じるのも読み手なりの受け止め方でしょう。確かに『西遊記』と対にするのは理に適った比較ですね。

原著は既に300年以上経過している有名作品ですので、ネット上で幾らでも閲覧が可能です。17世紀の英語が苦にならない方でしたら、1度目を通してみては如何でしょうか。作者の強い信仰に基づいたお話ではありますが、あくまで大衆を意識した寓話ですから、決して肩肘張らずに読んで欲しいと思います。感想があればお気軽にコメント投稿して下さい。

趣味系記事を全て本館に集中させる事にしたので、ちょっと傾向の違う話題で攻めてみました。次は再度アクセス数で挑戦してみるつもりです。最後に私の体調を気遣って下さった皆さん、本当にありがとうございます。もう元気になりましたので、普段通りに活動出来ます。気分も爽快ですよ。

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